軌道上点検プラットフォーム

宇宙のトラブルはわかりにくい

現在、宇宙空間では数千機を超える人工衛星が運用されており、その数は現在も急速に増加しています。そして衛星数の増加に伴い、運用管理の複雑化やトラブル時の影響範囲拡大という新たなリスクが顕在化しつつあります。

人工衛星のトラブルは、設計・製造ミス、運用エラー、外部要因(デブリ衝突・放射線障害)など、さまざまな要素によって常に存在します。
衛星が増えることで、こうした単発トラブルでも、軌道利用の効率悪化、経済損失、軌道汚染(スペースデブリ化)といった影響が大きくなる恐れがあります。

人工衛星の打上数は急増している

にもかかわらず、現在の宇宙機運用現場では、「異常発生時に外観を直接視覚的に確認する手段」が存在していません。
運用者は、限られた通信データや地上レーダー情報だけを頼りに、異常発生の状況を推測するしかないのが実情です。

人工衛星の状態は上記のようなテレメトリデータでしか送信されない

また通常運用においても、
「太陽電池パネルの正常展開確認」や「広報素材としての外観撮影」のニーズが高まっていますが、
機体搭載カメラでは撮影範囲に限界があり、第三者視点からの撮影は未だ確立されていません。

この背景には、従来の宇宙機設計が「自己完結型」であり、外部からの視覚的確認という発想自体が存在してこなかったという、設計思想上のギャップがあります。

軌道上で人工衛星を目視点検するシステム構築を目指す

そこで当社は宇宙機運用における「外観を視覚的に確認できない」という根本的課題に対し、人工衛星を撮影する人工衛星を自社で設計・製造・運用し、外観画像の取得と診断レポートを提供するソリューションを開発しています。本サービスにより、従来のテレメトリ情報のみを頼りとした運用から脱却し、画像による第三者的確認を可能とする「新たな運用インフラ」の実現を目指します。

今後は複数機の人工衛星をコンステレーション化することで、撮影機会を最大化し、トラブル時や広報・保険対応等の平常時を問わず、軌道上の迅速な状況把握を可能にします。年間数千機規模で増加が見込まれる人工衛星に対し、当社のソリューションは、混雑・衝突・異常のリスクを「外観の見える化」により可視化し、宇宙産業全体の安全性向上に貢献します。

中期ロードマップ-着実な技術蓄積を踏襲

軌道上点検プラットフォーム実現のためには様々な技術を実証、習得する必要があります。
弊社は約10年のスパンで、一歩ずつ着実に技術や顧客課題の知見を身に着け、サービス提供につなげていきたいと考えています。

短期ロードマップ-初号機開発の打ち上げに向けて

現在、我々は技術蓄積の第一歩として初号機Cubesat(1U)の開発を行っています。
2027年秋頃の打ち上げを目指し、開発のノウハウを蓄積中です。

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